君の膵臓をたべたい

「君の膵臓をたべたい」をみた。3度目だ。

初めてみたのは、公開から3年ほどたってから。どうしてもっと早くみなかったのか。


作品の中盤で、僕を演じる北村くんが、まっすぐに「とても」と口にする。後半で「もう、泣いてもいいですか…?」と尋ねる。その2つの場面にいつも、どうしようもなく心を持っていかれる。彼の演技がすばらしく素敵で、湧き上がる想いで胸が詰まる。

特に作品の中盤以降で、桜良を演じる浜辺さんが、その笑顔を脇に置いて、まっすぐな態度で言葉を重ねる場面も、とても美しい。言葉の一つひとつが、温もりを持って心に届く感じがする。

誰かに心を開く、誰かと心が通うって、ほんとうにほんとうに素敵なことだ。この映画をみて心からそう思う。


「偶然なんかじゃない。流されてもいない。私たちはみんな自分で選んでここに来たの。君と私が同じクラスだったのも、あの日病院に行ったのも偶然じゃない。運命なんかでもない。君がしてきた選択と、私がしてきた選択が私たちを会わせたの。私たちは自分の意思で出会ったんだよ」(桜良)

(「君にとって、生きるってどういうこと?」)「誰かと心を通わせること、かな。誰かを認める、好きになる、嫌いになる、誰かと一緒にいて手をつなぐ、ハグをする、すれ違う。それが生きる」、「自分一人じゃ生きてるってわからない。そう、好きなのに嫌い、楽しいのに鬱陶しい、そういうまどろっこしさが、人とのかかわりが、私が生きてるって証明だと思う」(桜良)


肝心なことは目に見えないーー
「君は強い。君はほんとうにすごい。僕(私)は君になりたい」、「君と生きていたい」ーー
お互いのことを認めて、相手の生き方に憧れや尊敬の気持ちを抱き、自分もそうなれたらと思う。誰かとかかわることでそう思える人との出会いはかけがえのないものだと思う。

星の王子さま(「星の王子さま」は桜良の愛読書)は、「さよならをして悲しませるくらいなら、仲良くならない方がよかった」と嘆くけれど、たとえ、さよならが必ずくることがわかっていたとしても、相手との関係性に足を踏み入れる勇気と、足を踏み入れないと決して得られないものがある、そういうことを心に描ける想像力とを、いくらかでも持って誰かと向き合ってみること、そしてその先にその誰かと、肝心でかけがえのない、目には見えない大切なものを共に持てるということ。そんな、そういう生きるってとても素敵だと思う。

コメント

  1. Sweat Shaper より:

    Great content! Keep up the good work!

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